アニメ再放送消えたという記事を見て思った

つぶやきのまとめサイトってたまに見るけど
考えの底が浅いというか ちゃんとした意見って少ない 結構見当外れなことばっか書いてる事が多い
今回アニメ再放送が消えた理由とメディアビジネス現況ってのを見た
http://togetter.com/li/42891

相変わらずピント外れな意見ばかり
アニメ再放送じゃあCMが成り立たないから消えたとかちゃんと調べずに思いつきだけでしたり顔で言ってるやつが多い しょせん携帯でその場で思いついただけのことをよく考えもせずつぶやくだけの軽薄なツール これを情報端末の最先端だと勘違いしてるゆとりが多いのが怖い


そもそも毎期放送される大量のアニメの9割以上は深夜アニメ
昔アニメ再放送が沢山やってた時代とは事情が全然違う
この前提をまったく無視した議論は意味がない


今の深夜アニメはほんの一部を除いたら放送局が制作に関わってないんだよね
昔のアニメはほぼすべて放送局が製作費出してアニメスタジオに作らせて広告代理店にスポンサー探させて儲けるというアニメ以外の番組と同じ手法で作られてた
だから放送局がその作品の権利そのものも管理してた
放送が終わってからも自分の所の作品だから簡単に再放送できた キー局以外の地方ネット局も キー局制作の作品を再放送できる恩得があった 
この時代でも自局制作以外の作品を放送しようと思うと権利やらなんやらが大変で高額の放送料を権利会社に支払わなくてわならなかったんだよね 他局の作品を放送するなんてプライドが許さないし そんな無駄金使ってまで放送する意味がない せいぜいそんなことまでして放送したのは映画くらいなもんだよ


そして今の深夜アニメの大半がアニメ制作会社が独自にスポンサーを募って資金を集めて作る制作委員会方式 ある意味自主制作アニメなんだよね 制作委員会に放送局が出資することもあるけど 大多数の作品は放送局とは無関係 つまり制作会社は放送局にお金払ってわざわざ放送枠を買って放送してもらってるわけ だから最近の深夜アニメはキー局じゃなく関東周辺地方局で放送されることが多い 放送枠の料金がキー局と地方局では5〜10倍くらいの差がある でもって関東ローカル局なら東京都内でも受信できる可能性がある つまりキー局の1/10の放送料金で東京の人にも見てもらえるっていうコストパフォーマンスの高さがキー局の深夜アニメの少なさに繋がってる(キー局で放送されてる深夜アニメは制作委員会に局が出資してる場合だけという現状) 
で なんでアニメ制作会社がお金払ってまでして地方局でアニメ放送してもらってるかというと
それこそ制作したアニメのDVD買ってもらったりキャラクターグッズ買ってもらって欲しいという宣伝なんだよね つまり普通の30秒CMや15秒CMと同じ 30分という枠全部使った膨大なコマーシャルをお金払って放送してもらってるというわけ
制作会社はDVDやグッズを売るのが目的なわけだから DVD売り上げに影響でる再放送なんて考えてない 放送局が再放送して欲しいと思っても権利がないからできない やろうと思うと膨大な権利料を払わなければ再放送ができない よほどのことがなければそこまでするわけがない


もうひとつ大きな理由は 今のアニメに再放送して視聴率をとれるような作品がない!
昔のルパンやドラゴンボールといったメガヒットアニメならそこそこ視聴率とれるから再放送ってのもありえるけど コアな視聴者をターゲットにした大多数の深夜アニメは絶対的な視聴者数が少ないマイナーな作品 そんなものもし再放送しても初回視聴率も少ないのに再放送ならその半分以下ってそんなバクチやっても意味がない
これはある地方放送局で昔(30年くらい前)あった話
6時からの夕方ニュースの視聴率が他局に負けていてそのテコ入れを検討していたとき その打開策として「じゃあ5時30分からの30分枠でルパンの再放送を入れましょう」って意見が出た キー局制作のルパンの再放送はネット局では安い料金と簡単な手続きで可能になる それに地元制作のローカル番組作っても視聴率取れるかどうかわからんし手間も金もかかるそれから比べれば人気アニメの再放送は当時費用対効果が最高だった その案が採用されルパン再放送の視聴者がそのままの流れで6時ニュースを見て視聴率上がった
当時の夕方ニュースなんてどこの局も似たり寄ったり 視聴者はどの局でもいいと思ってた だからルパン見た人がそのままチャンネル変えなければニュースの視聴率は自動的に上がるという仕組みだった
今でもドラゴンボールやらルパンやらやればそれなりの視聴率とれるかもしれない


でも時代は変わった たしかに再放送見る人もいるだろうけどわざわざ再放送の時間にまで合わせて見てくれるような人の絶対数が減った
アニメ見たければCSのアニメ専門チャンネルでいつでも見られる
ルパンだってわざわざ放送時間に合わせて見なくてもレンタル屋で借りてくれば自分の空いた好きな時間に見られる 
私が子供の頃は家庭用ビデオなんてまだなかった時代 ビデオが一般家庭に普及してきたのは私が大学卒業したくらいの頃から アニメで言えばヤマトやファーストガンダムが終わった頃くらいから それ以前は放送局の再放送が好きなアニメを見返す唯一の手段だった だからたとえ再放送と言えど好きな作品が放送されるとなればその時間はアニメ視聴が最優先事項となった それだけでは足りないもっと堪能したいときはカセットテープに音だけ録音して 音だけを何度も聞いて楽しむしかなかった時代だった  
そんな時代とはもう違う オタクなら好きな作品は自分で録画してるだろう わざわざ再放送を見る必要はない 録画してなくても見てみたいと思ったときにDVDを買うなりレンタルすればいつでも見られるのに特定の時間を拘束されてなんでざわざわ再放送を見る必要性があるのか だいたい最近のレンタル屋はアニメに力入れてる うちの近所に何件もあるレンタル屋はほとんど映画やドラマと同じくらいもしくはそれ以上のスペースを割いてアニメを並べている それだけアニメレンタルの需要があるってこと わざわざ地上波放送でアニメ再放送を見る時代じゃなくなってる
視聴率とれないことが判ってるのに放送する局はどこにもない 当然そんな番組にはスポンサーだってつかない 


同じような理由で映画を放送する番組もどんどん消えていった こちらはDVD等による好きな時に見られるタイムシフト以外に 放送時間枠に合わせて映画を短くカットしてしまうという作品に対する暴挙が行われるのがあたりまえになってたのが映画番組離れを加速させたのだろう たとえノーカットを謳っていても物語の流れをぶった切るCMが途中に何度も入ってきたらうんざりする
先日「サマーウォーズ」が放送された 作品から30分もカットしたダイジェスト版みたいな作品だったらしい 見た人たちからは つまらないとの声が上がった そりゃあ作品の1/4以上にもあたる部分をぶったぎって繋げたらどうでもいい残りかすの作品になってしまう というかいまだにそんな制作意図を無視して内容をカットしまくりのレイプ番組を喜んで見てるような人が多くいるのに驚かされる ざっくりカットされたのは高校野球のシーンと花札のシーンだったらしい 高校野球のシーンは世の中が混乱して大事件が起こってるのにのほほんと高校野球を応援するという あの大家族の男性陣と女性陣の温度差の象徴のようなものだし 花札シーンはあの映画後半最大の盛り上がりのバトルシーンだろ タダ単に格闘するバトルシーンの方が盛り上がると思ってカットしたのかどうなのかしらないけど こんな酷いカットするなら 最初から無理して放送するなと言いたい 
もう何年もTVで映画放送を見ることがなくなった 見るのはCSで放送された時かレンタル屋で借りてくるとき わざわざ放送時間を指定されてその時間を拘束されてカットだらけのくだらない残骸映画を観るほど暇じゃない


それにアニメ再放送が消えた理由というが
アニメ再放送そのものは消えてないどころか逆に増えている
CSのアニメ専門チャンネルは一部のぞいて基本再放送の嵐だからそこで放送されている再放送数だけ考えれば ものすごい量の再放送が毎日流れている CS専門チャンネルは権利者に放送料を払って放送してるわけだけど 放送する数が多い!制作会社にしてみれば毎回放送権利料を払ってくれるお得意様なわけ それに専門チャンネルの視聴者は制作会社にとってコアな顧客が見てる場所 番組提供と共に連動してDVDボックスの宣伝もすれば売り上げもあがる だから放送料金も地上波とは別枠の特別料金で作品を提供してる
それでも専門チャンネルにしてみれば権利者に払う放送料がばかにならないので 最近は制作委員会に積極的に参加して新作放送の場としても使い放送の権利そのものを保持しようという動きも目立つ この契約だと制作委員会メンバーとして新作時放送以外に何年分かの再放送できる権利まで手に入るという仕組み
アニマックスやキッズステーションで地上波と同時に新番組放送が始まるアニメはこのタイプ 新番組放送終了と同時にまたすぐ1話から再放送が始まることが多い あとAT-Xの場合は独占契約にしてしまうから 地上波なしのAT-Xだけでしか見られないアニメってのがある


結局中途半端な放送しかできない地上波放送がどんどん見限られてきているってだけじゃないのかな