人間嫌い 引きこもりにもなれなかった

基本的に私は引きこもりと同じだ
幼少の頃から人と接するのが苦手どころか人との接触は恐怖でしかなかった
よく人は仲のいい友達と話したり騒いだりすればストレス解消できるというが 私はどんな仲のいい友達だろうと長時間話していればその場はとても楽しくてもストレスはどんどんたまり 終わったあと疲れてストレスでぐったりしてしまうひどいときは翌日にまで精神的にダメージが続く 仲のいい友達と楽しくすごしてもそんなだから普通の生活は苦痛でしかない


幼稚園に通うのも怖くて でも母親に無理矢理送り出され 毎日幼稚園で怖くて怖くて大声で泣いていた
小学校に通うようになると さすがに意味なく怖くて泣くことはなくなったが 同級生との接触では怖くて泣くことも日常だった そんなだからいじめにも合っていた でも登校拒否にはならなかった もし学校へ行かなかったらと考えるとその時の母親の態度の方が怖かった 別に母親は虐待もしなかったし 格別ヒステリックに怒ることもなかったが 私にとっては最大の畏怖の対象だった だからどんなに学校でひどいことがあっても 家では話せず家に逃げ込むことすらできないというか 家に逃げ込む方が怖かった だから一人で部屋にいるか 部屋で落ち着かないときは外へ出かけた 中学生にもなるととにかくショッピングストアなどを意味なくうろついた やたら人がいるがそれが自分に無関心でかかわり合いがない その人ごみのなかに孤独を感じ安心感を得ることができたからだ 
中学三年の時に大きな転機があった 中一時代に少し仲のよかった友達から紹介されてその後やたら私にまとわりつくようになったKという男がいたのだ そいつは別のクラスなのだが放課になるたび私の所へ来ていつも一緒にいた なぜ私にまとわりつくのか聞いたことがあったが昔の自分に似てるからほっとけないと言われた でもそいつは私とはとても似つかない正反対で明るく彫りの深い美男子(身長だけは私と同じく小さかったが)の帰国子女(男の場合はなんていうんだ?)ということもあり話題豊富で人を楽しませることが得意で いつも後輩の女の子達に囲まれてる校内のアイドル的存在だった そんなヤツが私にいつもまとわりついてくるから大変だ 二人で歩いているとやたら女の子が声をかけてきて立ち止まることになる 最初のうちは遠巻きに見ていたが そのうちヤツがお前も一緒に話さないとシラケルだろと言いヤツにまとわりつく女の子達の話に加わらざるえなくなった たぶんヤツが私を心配して少しでも人と接することに慣れるように気を使ってくれたんだと思う(もともとヤツを慕っているとりまき達だから ヤツといつも一緒にいる私にもやさしく接してくれた) だんだん女の子達と話すことに慣れてきて そのうち一人でいるときでも 顔見知り(ヤツのとりまき達)の女の子達と普通に話せるようになった でも相変わらず男相手に話すのは苦手だった 
高校はヤツとは別の学校に進んでだんだん疎遠になっていった だがなんとか一人でやっていけるようにはなっていた
その代わり 同じように中学時代後輩の女の子達に囲まれアイドル的生活をしてきた先輩Mと出会った 高校のスキー合宿で知り合い そうとうハイレベルスキーテクニックの先輩だったが 初心者ながらその滑りに付いていったことから 見所あるとその後いろいろ面倒みてくれるようになった とくに芸大に進んだときも同じ学科の先輩として寮の面倒からいろいろしてくれていつも一緒にいた 
私が人間嫌でもなんとか普通の生活ができるようになったのは この二人がいてくれたからだと感謝している 


社会人となって 何度か転職し[プロラボ(プロカメラマンが撮影したフィルム専門に現像プリントする 当時SONYの世界初のデジカメ試作機マビカが発表され現像ラボに未来はないと思った)→ビデオスタジオ(カラオケ映像等の制作 当時ははまだカラオケ専門店なんてない時代 スナックで8トラックカラオケが主流 音だけで映像なんてついてなかった そこでVHSビデオテープで頭出しできる機能を付けたカラオケシステムの映像を作ってた その後LDカラオケが発表となりカラオケブームが来ることになる)→TV局ドラマ付きのフロントという仕事(契約 昼の連ドラの役者のホテルや交通手配やら昼飯の手配 スタジオ入りの連絡など役者の世話をやくADみたいな仕事だった)→画材ルートセールス(印刷所やデザイナがお客だった)] そして結婚した 女性と話すことだけはなんとか普通にできたので大学卒業後出会った女性と付き合うことも出来普通に結婚することもできた 
しかし仕事はルートセールスの営業 元来人間嫌いで人付き合いに恐怖を感じてた私は高校大学生活でだいぶ症状は良くなってはいたが お客と話す時に恐怖を感じることがよくありまともに営業も出来ずストレスばかりが溜まっていった そんなときに私を可愛がってくれたお客のデザイン会社の社長がうちにこないかと言ってくれてまた転職 そこでだいぶ自分に自信が持てるようにはなって その後にいたる


基本的にいまでも人間嫌いは完全には直っていない もう生まれた幼少の頃からのことなので変えようがない
家にいる時に宅配便がくるとビクっとして怖くて一瞬硬直する 何らかの用で電話かけといてと言われても知らない相手だと怖くてかけられない だからいつまでも電話かけられなくて放置してしまう 嫁にも冷たくされるともう怖くなって話しかけられない近寄れない どんどん相手が怖くなって離婚して家を出てどっかいってしまいたくなる 嫁は私の唯一の心のよりどころ人間嫌いの私が嫁だけは信じていたいと思う だからこそ冷たくされるともう自分の存在意義が否定されるようで死んだほうがいいくらいに思ってしまう 
最近はまた毎日人と合う仕事をしている とりあえずなんとか頑張っている 最近嫁がやさしいのでそれも励みになっている