明治村 東松家住宅(重要文化財)

煉瓦通りで撮影ポジションを選択中 このあたりにしようかと東松家住宅の横あたりで三脚出してセットし始めたところで 
東松家住宅からガイドの人が出てきて
通常公開されてない2階3階部分を回るガイドツアー始まります と通行する人に向かって言っていたので
どんなもんかと 急きょ荷物を片づけて みてみることにした
前の記事での学習院長官舎もそうだけど 明治村にはガイド同伴じゃなけりゃ入れない場所が結構あります 貴重な建物や家具に勝手に傷つけられたりしたら大変ってこともありますもんね



外見はこんな感じの油屋さん 油商売で儲けて 金かけて趣向を凝らした家です
入ってすぐは油屋の店の部分



店の奥は3階まで吹き抜けになってます

フラッと入って見学できるのはここまで
ここからはガイド付きのツアーじゃなければ入れません
三脚やらドールバッグは狭い家の中の移動にじゃまになるので1階の押し入れに保管してもらいました
一階一番奥の部屋の縁側に備え付けられた雨戸は 枠が鉄で格子状に作られ表に木が貼ってあるもの 当時の油屋は儲かって金があるから泥棒等にも狙われやすい為雨戸を破って押し入る泥棒の為の防犯対策だとか


そして2階へ 

階段を上がった先の部屋の出入りする襖につけられた把手 鳥の形した凝ったものだけど これ特注じゃなく当時の既製品だったとか



これは隣の部屋の把手 堀川沿いの油屋で 油輸送は船で運んで店の裏に横付けして荷物の積み下ろししたことで 船との関わりが深かったことから デザインは船の櫂をモチーフにデザインされたものだとか



この部屋から見た裏 
蔵の裏は山になってますが 本来建ってた場所では 蔵すぐ裏は掘川で 荷卸しの為の川へ降りる階段があったと思われます


茶室へ続く廊下

ガイドでは言ってなかったけど 壁部分のスリットは スライドさせて閉めたり開けたりできる構造のやつですね
私の母の実家も宿場町の店で 店に面した部屋には細いスリットがあり開けることで網戸のような換気と店の様子を見ることができるようになってたり 奥の部屋の押し入れに隠し階段があって それを登ると店の吹き抜け部分に貼りだした廊下(この東松家住宅みたいに豪華なつくりでなく 渡した板の廊下に簡素な手すりがついただけのもの)から下の店の様子を覗けたり この東松家住宅は廊下の先が茶室になってたけど 母の実家は 蔵とは別の重要なものを保管する倉庫になってたり そこの窓(軒下に細いスリットが切られた窓で 外からは窓があることはわかり難い)から道行く人の様子がみられたりしました
ただ この東松家住宅の壁のスリットは 下にスリットが動くためのガイド溝がないなと思ったら 上の障子にもガイド溝がなかった 上からのつり下げ構造なのかな? 溝がないほうが見た目が綺麗だけど こだわりの多い家です


この家が元々建っていた場所は名古屋の堀川沿い 店が密集していた場所で庭などほとんどなく 茶室を家の外につくることが不可能なので 2階の吹き抜けに張りだしわざと曲がりくねらせた廊下を歩くことで 別の場所にある茶室へ向かうという雰囲気を演出してるそうです

茶室 窓の外は屋外でなく吹き抜け部分です 障子を閉める事で吹き抜けの柔らかい光がぼんやりと茶室内を照らし幽玄の雰囲気を出すようにしてるようです




茶室へ向かう途中の廊下横の部屋
木の直線と光の演出がとても綺麗です



茶室の手前の部屋
茶室の扉の開け閉めで 障子の光が半月模様になったりします
光の形で 茶室に客人が全員揃って扉が閉められたかどうかが判るようになっています



ここは店のすぐ上
奉公する女性の為の部屋です 
3畳ほどの狭い部屋で 店から梯子を使って上がります 出入りする場所はこの梯子だけです 女性が部屋に入ったら梯子は外され 朝まで出られないそうです 表向きは若い女性の奉公人を預かるのだから不始末のないようにということらしいけど これって結局こき使って逃げられないように夜は監禁しておくってことだよな
この写真は 家の移転時に隣の部屋との壁に見学用の穴をあけた場所から撮影してます



室内の照明は雰囲気を壊さないように
アンティークデザインのフィラメント電球を使ってます


そして3階へ

道路に面した部屋です
窓には太格子が作られてます
実は これは太い木製格子に金属を貼り付けてあるものだとか 実際の強度より その迫力で泥棒への威嚇が目的だったと思われます 奥の部屋に見える建物側面の窓にはめられた格子は細いですが こちらは強度実用性重視で鉄製です 並びの隣の家の屋根伝いに押し入る泥棒よけの為らしいです


3階建物中央の部屋です
この3階は奥の部屋へ行くほどその都度階段上がって高くなっていきます

一番奥の部屋との間の障子のデザインが綺麗です



この部屋の吹き抜け側には張り出したバルコニーのような場所があります




張り出しの隣にある窓から吹き抜け部分を見下ろしたところ



3階一番奥の部屋へはいる扉に描かれた鳥の絵
一晩泊めてもらった無名の絵描きがお礼に描いていった絵だそうです



一番奥の部屋階段をあがりきった横にある丸窓

とても美しい造形です



3階から裏を見た様子


この部屋の押し入れには仕掛けがあって
押し入れの床板が外れるようになっていて その下は1階台所
水が欲しいときにそこから桶をたらして下にいる奉公人に水を用意させたとか
最初に上がった茶室へ客人を招くための裏の階段とは別に 直接店へ行き来する階段もあって その階段は 正面から手前に出す 隠し引き出しがつくられてました
ある意味忍者屋敷のようでもある家です


という 地味な外観の建物の割には内部は日本の様式美溢れる 見ごたえのある建物でした