「コクリコ坂から」を見た  ジブリの終焉


公開直後の連休 ジブリ映画なので さぞ混んでいるのだろうと思いきや
まったく 全然混んでません ガラガラと言えば少し大げさだけど 私の見た感じでは3〜4分入り程度かな
座ったのは前から1/3くらいの場所なんだけど 私より前の席に座っていたのは2人だけ


これから見に行ってみようかと考えている人には 
はっきり言ってお勧めできません
特にジプリ映画だからと期待したら 大外れでガッカリすることでしょう


あくまでも私の私感ですので 他の見た方の感想等も読んで そのうえで総合的に自己判断して 
どうしても見てみたいという人だけにお勧めしておきます


内容について
舞台は横浜だけど 時代が私の記憶からいくと たぶん昭和36年頃だと思う 東京オリンピックのポスターが登場するけど これは東京オリンピックの年ということでなく 東京オリンピックが開催されることになって実際の開催へ向けてのポスターなので それ以前の数年前ということになる
街に「上を向いてあろこう」の歌が流れて流行っている風景が登場するけど この歌が一番流行ってた時期も東京オリンピックより少し前のはず
公式アナウンスでは東京オリンピックの年ということになってるみたいだけど 微妙にすこしずれている気がする

はっきりいって 時代の選択が中途半端というか 微妙すぎる なんでこの時代? 若者たちの思想や行動等 今の若い人には全然ピンとこないだろうし なんか絵空事だけで終わってるように感じるだろう
いわゆる昭和30年代ノスタルジーとも違う ただ単に30年代をたまたま舞台にしたというだけのような必然性のなさ

宮崎駿のインタビューによると オリンピックの年を境に若者の意識が大きく変わったのだそうだ それは宮崎駿が勝手に思ってるだけのことなんじゃないかな? 実際に大きく日本人全体の若者の意識が変化したのって 万博の方が大きいと私は思う 万博の年というより 万博に向けて大きく日本は変化して国民の意識が激変していった だからその時代を舞台にした「20世紀少年」や「しんちゃんモーレツ大人帝国」が人気でたんだよ 東京オリンピックは万博へ向けての前哨にすぎないと思う 「コクリコ」に登場する風景や若者の考え方とかは どちらかというと「3丁目の夕日」に代表される30年代前半のほうがしっくりくる世界なんだよね

当時の高校生の淡い初恋を この時代の学園生活等を舞台に展開しているのだけど
私の素直な感想は たいして面白くもないうえにくどくど長話ばかりする爺さんの 若き日の初恋の想い出話を聞きもしないのに 無理やり聞かされたというようなもの
リアルにこの時代を生きた人や この時代を知ってる人には 懐かしくて面白いと思うかもしれないけど
この時代のことをあまり知らない人には 昭和30年代頃に作られたカビの生えた青春映画を見せられているような気分になるでしょう



アニメとして
たぶんこんなストーリーの映画 ジブリ映画じゃなきゃ誰も見に行かないだろうけど
このアニメ見ると これ本当にジプリが作ったの? ジプリアニメってこんなヘタクソだったっけ と戸惑うことになる


私はこの映画ジプリ作品ってだけで 誰が監督かも知らずに 誘われて見に行った
冒頭のクレジット見て あっ宮崎駿じゃないんだ 息子の作品か じゃあ期待できないなと あまり期待せずに見始めたけど


映画が始まってしょっぱな 主人公の女の子が朝起きて布団から出て 朝食の準備したり 庭に出て旗をあげたりという 主人公の毎日の日常の朝が紹介される このシーンが始まってすぐガッカリさせられる すごく手抜き! 全然アニメとして動いてない! どんな中国下請け動画なんだよ! って初っぱなから突っ込みたくなる!
たとえば同じような冒頭で始まるアニメで昔日本アニメーションが作った「赤毛のアン」なんかはすげー!って感嘆するほど 朝起きてから窓を開けて風にあたるまでの表情がよく動き魅力的だった  でもこのアニメ 丁寧な動きもなにもない ただ次の場所 次の動きへ 機械的流れ作業的単調さで 動きになんのこだわりもなく ただ単に動いてるだけ! 主人公の表情もほとんど動かない
まるで紙に顔を描いたお面を被って演技してるような表情のなさ さらに キャラクターの絵の線が酷い 線の強弱の表情がまったくない 均一で機械的でど太い 繊細さのかけらもないヘタクソなライン
いくら宮崎駿が監督じゃないと言っても ジプリのスタッフが作ってることには変わりないのに なんでここまでヘタクソなの!

画面構成も酷い センスのかけらも感じない!
TVアニメじゃないんだ これは大スクリーンで見る事を前提にしたアニメ映画なんだけど 画面が全然映画的じゃない 安物3流TVドラマみたいな画面構成
たとえば 広い風景をバックに小さな建物 その片隅に主人公がいるなんて場面があったとする こういうのっていかにも映画ならではの構図だと思うんだよね 大きなスクリーンだからこそ 小さく主人公が映っててもちゃんと判る だからこそ映画なんだぞって主張するような広がりや奥行きのある画面表現が映画の醍醐味だと思うんだよ 実際宮崎駿が監督した作品はそういう広がりのあるシーンばかりだよね
でも この作品は安物のTVドラマをそのまま映画館で見せられてる気分なんだよ
スクリーンサイズもシネラマじゃなくて ビスタサイズだしね 

ありえない!って思ったのは
主人公が画面端にフレームアウトしそうになるシーン 背景が移動に合わせてズリズリって不自然な動きでパンする どんな手抜きTV画面なんだよ! この手法って シネラマ画面をTV放送するとき 画面全部が入りきらないから 主人公が左右にフレームアウトしそうになるとき画面全体を動かしてパンして主人公のフレームアウトを防ぐという手法だろ なんでそんな手抜き手法を劇場映画のシーンで使うかな ドン引きだよ! そんな酷いパンシーンが2回ほどあった 最初からフレームアウトしないよう引いたフィクス画面で作れよ それが大画面の映画的手法だろ!


中途半端 手抜き 予算がないのでここまでしか出来ませんでした とかいろんな事を考えてしまう駄作アニメ



今どき普通にTVで放映されてるアニメでも もっと丁寧で綺麗な作品はゴロゴロしてる時代なのに 一世を風靡したジプリアニメがこんな劣化アニメを劇場で高い金とって公開するってどうなのよ


こんな糞作品みるくらいなら
TVでこの間まで放送されてたアニメ「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。」の方がよほど丁寧で綺麗に動いてたし 内容も感動させられる名作だった
ネタ的に見てみようと思うならまだしも そうでないなら 「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。」の録画見るなり BD買うなり レンタルするなりして「あの花」を何度も見直した方が有意義だよ



結局この作品はジプリってブランドだけに依存した映画 
ジプリって名前には何も意味がなくて 宮崎駿が監督してはじめてジプリブランドになるということが またも今更のように証明させられた映画だった (宮崎駿監督以外での名作って「蛍の墓」ただ一作しか存在しないし)
もうジプリって看板だけでは観客も騙されないぞってとこまで来てるのは 公開直後なのにガラガラの映画館って事でもハッキリしてる 
観客の年齢層もこの内容に共感しそうな30代以上からじいさん等 年寄りばかりだったし



子供づれでは絶対楽しめません 子供は退屈してしまうでしょう 


カップル向けのデート映画と勧めてる人もいるようですが はっきりいってデートで見ても盛り上がりません ラブストーリーとしてはおとなしすぎます カビの栄えた古くさく 演出もオーバーでくさい青春映画(でもこの映画で盛り上がってる場所ってカルチェラタン学生運動の部分だけなんだよな) 見てるとくさすぎて恥ずかしくなります 見終わればどんより気まずくなるでしょう(私が実際そうでした 恋愛ものとして微妙 あまり悪くはないと思うけど 古くさすぎるよねと二人で批判を口にしながら劇場を出ました)


30代以上の世代で おとなしい地味な青春映画がすきなら 楽しめるかもしれません あくまでも恋愛映画と思わない方がいいです たしかに主人公の初恋のような部分が全体を通して現れますが ストーリーで一番目立って大きな部分を締めるのはカルチェラタン(クラブハウス)の取り壊しに対する反対運動の部分 この学生運動を通じて主人公と相手の男との淡い触れ合いがゆっくり進むというものなので 今風のハッキリした恋愛イベント満載のラブストーリではなく あくまでもこの時代の青春映画という分類になると思います